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パーソナライズマーケティング

パーソナライズマーケティングの目的とは、
企業と顧客の感情的な繋がりを維持し続けること


ここ最近、「ワントゥーワンマーケティング」や「パーソナライズ」などといった、カタカナマーケティング用語をよく耳にするようになりました。これらのことをなんとなく理解しているかたも多いとは思いますが、その認識は本当に正しいと言えるでしょうか?この機会に軽く確認しておきましょう。

そもそも「ワントゥーワン」とは「ひとりからひとりへ」という意味、「パーソナライズ」は「各個人へ合わせる」という意味ですが、マーケティング用語としてこれらの言葉を使う場合、ようするに「各個人へ最適化した販促活動を行う」ということです。ここではこのような販促方法を「パーソナライズマーケティング」と呼ぶことにします。「パーソナライズマーケティング」は人材・資金の豊富な大企業にしかできないと考えがちですが、いまやSOHOや中小企業でもパソコン・ネットを活用することにより低予算で簡単に行うことができます。

実際、一部のマーケティングに長けた企業は「パーソナライズマーケティング」をうまく活用することにより、それぞれの顧客に最適な情報提供を行い、顧客との感情的な繋がりを強化しています。結果として、新規顧客・リピーター・紹介客などを次々に獲得し、同時に他社への顧客流出を防いでいます。

「パーソナライズマーケティング」をうまく活用することにより、企業と顧客を長期に渡り強く結びつけ、それは業績の向上と同時に他社との差別化を図ることが可能ですが、残念ながらこれらをきちんと出来ているのはごく一部の企業であり、多くの企業では「パーソナライズマーケティング」に対する考え方・認識を誤っているようです。このことは、いまだに単に個人名が差し込まれただけの売り込みDMが多く届いていることからも明らかでしょう。

たしかに「お客様へ」よりは「○○様へ」と書かれたメールのほうが幾分マシかもしれませんが、もっとも重要なことはそのことが顧客にとってメリットがあるかどうかです。メールに名前が書かれているだけでは、顧客にとって大きなメリットはありませんし、顧客全員に同じ内容のメールを送っていたのではピントのずれた提案をしているのかもしれません。このことをよく考えず、企業側にとって都合のよい「パーソナライズマーケティング」を行っていると手痛い失敗をしてしまうこともあるのです。


相手を間違えると「役立つ情報」が「迷惑な売り込み」に

企業によって扱っているモノやサービスはさまざまですが、全く同じ属性の顧客を相手にして商売を行っている業態はほとんどないといってよいでしょう。どんな企業でも必ず複数の異なった属性の顧客と商売をしています。

わかりやすい実例を挙げると「自動車」があります。「自動車」という商品を購入する顧客には、実に様々な属性が存在しています。軽自動車、スポーツカー、ワンボックス、セダンといった車体形状による分類から、大衆車、高級車、男性向け、女性向け、若年層向けなど、顧客の性別・収入・年齢などによって分類することもできます。

企業がDMなどで販促活動を行う場合、もっともコストがかからないのは全ての顧客に全く同じ情報を提供することです。これなら複数のコンテンツを用意する必要も情報を加工する手間も省けます。しかし、もし全顧客に同じ内容の情報提供をするとどうなるのでしょうか。

例えば、ある新型車の紹介DMを全ての顧客に送ったとします。すると、一部の顧客はこのDMに反応するかもしれませんが、残りの顧客は全くの無反応となります。なぜなら、その新型車に興味があるのは特定の顧客だけだからです。仮に、この新型車は既存製品と比較して運動性能が高く、デザインもスタイリッシュで素晴らしい出来映えのスポーツカーだったとしても、車を日常の足程度にしか認識していない中年男性や、運転のしやすさや燃費などを最重視している主婦が、この新型車に興味を示さないのは想像に難くありません。結果として高いレスポンス率は期待できず、費用対効果の面から見ても悪いと言わざるをえません。しかしこの例では、怖いことにレスポンス率が悪いだけでは終わらないのです。

このDMはスポーツカーに興味のある顧客だけにとっては「望んでいたありがたい情報」なのですが、そうではない多くの顧客にとっては「迷惑な売り込み」にすぎないのです。仮に主婦であれば普通はスポーツカーにとくに興味・関心はなく、それよりもふだんよりもちょっとお得な点検サービスや、オイル交換に行くともれなくティッシュペーパーをもらえるなど、実生活に役立つ情報に魅力的を感じます。よって、主婦がこのDMを受け取ったとすると、DMを見た瞬間にゴミ箱行きが決定します。主婦は「ゴミ箱行き」という判断をはじめは無意識のうちに行っていますが、同じこと(魅力を感じない情報提供=ただの売り込み)を何度もされ続けると、次第に無意識から能動的な意識=この企業への嫌悪感が芽生えてきます。

あなたも経験があるのでおわかりだと思いますが、人は他人から売り込みをされると非常に嫌悪感を覚えます。「なぜあなたからモノを買わないといけないの?!」となるわけです。顧客にとって興味・関心のない情報はスパムメールと同じ扱いを受けます。せっかくコストをかけてDM販促をしたとしても、顧客属性に応じて適切な情報を提供しないと、反応を得られないどころか逆に顧客から嫌われてしまうのです。

つまり、企業だけにとって都合のよいDM販促を繰り返していると、自社イメージダウン+他社への顧客流出という最悪の結果を招いてしまうのです。ただし、多くの中小企業商用サイトでは取扱商品を相当絞っているでしょうから、上記のことはさほど問題にならないかもしれません。意外と実害が多いのは次のことでしょうか。


上客は無意識のうちに期待をしている

前述した「顧客の志向」の他にも「購買履歴」が属性を分類する上で重要な要素になります。頻繁に車を買い替えてくれている上客と、過去にたまたま1度だけ車を買ったことのある一般客へ、同じ内容・質の情報を提供していたのでは、上客の心は次第に企業から離れていってしまいます。なぜなら上客は自分でも無意識のうちに特別待遇を期待しているからです。

上客は、自分が企業に対してリピート購入したという作用(ギブ)に対して、企業が自分には特別待遇をしてくれるだろうという反作用(テイク)を無意識のうちに期待しています。しかし企業がこのことに気付かずにいると、顧客感情の作用・反作用(ギブ&テイク)のバランスは崩れ、上客は企業に期待を裏切られたと認識します。つまり、「せっかく何回も買っているのに他の人と同じ待遇なら、もうここから買い続ける理由はない」と無意識のうちに感じます。そして、いつの間にか他社へと浮気(ブランドチェンジ)されてしまうことになります。この場合、企業側もなぜブランドチェンジが起きたのかの理由がずっとわからないままなので、有効な対策を取れないのです。

これらのことは、自分が顧客の立場に立ってみないとなかなか理解できません。逆に言えば、自分が顧客となり不快な思いをしてみれば一瞬で理解できます。顧客は感情を持った人間ですので、自分のことを大切にしてくれる企業は、やはり自分も大切にしてあげたくなるのです。

商売の基本は顧客を知ることであり、顧客は常に正しく、顧客の取った行動は常に企業の行動の裏返しなのです。これはリアルでもヴァーチャルでも、人という感情を持った生き物を相手にしている以上、未来永劫において変わることはないのです。

このように顧客属性を見直すということは、企業にとって非常に重要であることに間違いありません。しかし、現実には多くの企業がいまだに昔ながらの古いやり方を続けています。この傾向は、現在そこそこの実績を持っている企業や、古くから同じ体質で経営を行っている企業に顕著に見られますので、新規参入する企業にとっては逆に好都合であり、また恰好のチャンスともといえます。


属性をじっくり考えて顧客リストを作ろう

上記の施策を実施するには、なんといっても顧客リストが必要になります。顧客属性を分類する上では、それぞれの顧客が何に興味を持っているのかと、購買履歴が2大ポイントになると考えられます。プレゼントサイトなどで見込み客を集める際に、簡単なアンケートでおおまかに分類したり、その後の購買履歴などで分類するとよいでしょう。

プレゼントサイトなどで収集したメールアドレスを利用するのであれば、この時点で見込み客の実名や住所といった個人情報まで把握している必要はありません。それよりも重要なのは、見込み客が何に興味を持っているか、性別、年齢層、収入、居住地域などといった、見込み客の属性を特定する為の情報です。必要以上にアンケート項目を増やす必要はなく、企業が戦略的観点から見て把握しておきたい属性分類ができればそれで十分です。よくプレゼントサイトでメールアドレスを集める際になんのアンケートも行っていないケースを見かけますが、これではまったく属性を特定できませんので、非常にもったいないといえます。

人員の少ないSOHOや中小企業がこれらの分類作業をすることは、少し大変かもしれませんが、最初にきちんとした分類基準を設定し、その基準に基づいてパソコンやCGIなどに無人かつ自動的に分類される仕組みを構築してしまえば、その後が非常に楽です。これを逆に言うと、顧客が少ないうちは人力でこなせるかもしれませんが、顧客が増えていったときには、残業が増えたり新しく人を雇ったりと無駄な労力と人件費がかかってしまいます。分類基準は人間にしか作れませんが、分類作業そのものを人間が行う必要はないのです。

ふだんのなにげない業務の中で、パソコンに仕事をさせて自動化できる部分がないかを常に考え、もしあればどんどんパソコンにやらせて時間を作り出しましょう。そうすることによって、経営判断・情報収集・戦略構築・各種勉強・人脈構築など、人間にしかできない重要な仕事に割り当てられる時間が増えるので、それを行わなかった他社よりも断然有利な経営が可能になります。


情報配信する仕組みを作ろう

顧客リストができてしまえば、あとはそれぞれの属性へ個別に情報配信するする仕組みを用意すればよいのです。情報配信する仕組みとしては、封書を使ったDM、FAXDM、電子メールなどがありますが、通常の商用サイトであれば電子メールを活用するのがコストも安く一般的でしょう。

電子メールを利用して大量の相手に配信する手段としては、いまやさまざまなASPサービス(外部業者に情報配信部分だけを委託するサービス)がありますが、どのサービスも月額数万〜数十万円以上と、SOHOや中小企業にとってはとても気軽に投資できる金額ではありません。

ASPサービスと似た機能を持つものとしてまぐまぐをはじめとしたメルマガスタンドがありますが、これは全ての読者に同じ情報を配信することしかできないので、パーソナライズマーケティングとは呼べません。もちろん顧客属性ごとに複数のメルマガを発行するという手もありますが、企業側で顧客属性をコントロールすることができない点や、同業他社に配信している情報・顧客数などが漏洩してしまう点からあまりお勧めできません。






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